お菓子では初めて? おまけサービスの誕生秘話

おまけサービス
よく見かけるおまけサービス。お値引きだったりプレゼントがあったりとサプライズのようで嬉しいですよね。実は初めておまけでお菓子を渡したのは文明堂だったりします。私たちの100年の歴史の一つ「おまけ」にまつわるお話をご紹介します。


高価で贅沢なもので、とっておきの贈り物
当時カステラは高価で贅沢なもので、とっておきの贈り物でした。長崎から東京に進出して、順調に「カステラ」と「文明堂」を覚えてもえらえるようになった頃、カステラは贈り物として大切な人に差し上げるお菓子で、自分のためには買わないお菓子でした。
そこで、創立者の宮﨑甚左衛門はカステラの味をもっと多くの人に知って欲しいと考えました。では、どうやって伝えるか、誰に伝えるか…
そこで思いついたのが「お手伝いさん」でした。


お手伝いさんは、家のあるじのお使いでカステラを買ったことはありますが、実際には食べたことはありません。そこにチャンスを感じた宮﨑甚左衛門は「カステラのおまけ」をつけることを思いついたのです。
カステラを買いに来てくれるお手伝いさんにおまけを渡すことで、彼女達にも食べてもらえるかもしれない。もし、気に入ってもらえたなら、お手伝いさんも将来利用していただけるに違いないと。


「商人がお客様との取引で負けて値下げをすること」
ところで、おまけと辞書で調べると「【御負け】商品の値引きをしたり景品をつけたりすること。またその値引きした金額や景品」(旺文社国語辞典)と出てきます。
さらに由来は「商人がお客様との取引で負けて値下げをすること」だとか。
宮﨑甚左衛門はこう言っていました。「御負けをしたということは、お客様は勝つということ。勝って嫌な気持ちになる方は多くはいないでしょう」そこで当時は土曜、日曜、祭日にお買い上げいただいたカステラの2割に当たる量を別の箱に入れておまけとして差し上げていました。


「これは文明堂のオマケです」
昭和20年代、おまけのカステラを入れていた箱のパッケージは、なんと漫画家の長谷川町子先生に描いていただいたサザエさん。当時から人気だったサザエさんが「これは文明堂のオマケです」と教えてくれています。


お客様に大好評
おまけを始めてしばらく経ったある日、宮﨑甚左衛門はお客様の反応をこっそり見に行ったことがあるそうです。
すると、誰かに贈るために買ったカステラの、2割にあたるおまけがついてくるお得感は、お客様に大好評。
その場でお連れ様と一緒に食べる方。「おいしいお菓子を贈れて良かった」と安心する贈る方。いいものをもらったと親しい人の元へ遊びに行く方。
お手伝いさんだけでなく、多くの方に喜んでいただけたようでした。

多くのアイディアを考えてきた創立者宮﨑甚左衛門。
その全てはお客様の立場になって考え出してきたものでした。